中学生のころからレコードを聴くのが好きになった。
当時は、Beatles から始まり、
ブリティッシュ・ロックやJazzなど様々な音楽を聴くようになった。
大学に入学して間もなく、同じクラスの友人があるレコードを聞かせてくれた。
当時、全盛期を誇っていたバンド「ウェザー・リポート」だ。
その時から、ウェザーリポートの若きベーシスト、「ジャコ・パストリアス」のファンになった。
当時、ジャズ界で世界最強のバンドと言われ、
ベテランで実力者が揃っているウェザー・リポートに、
25歳の若さで加わり、その独特なベースの音色で圧倒的な存在感を誇っていた。
一度聴くと、ジャコのベースだと分かる個性的で独創的な音楽は、画期的だった。
大学4年生のころには、ウェザー・リポートを脱退して、ビックバンドを編成し、
何度か来日してコンサートは大盛況だった。
当時は、大学卒業間近で忙しく、コンサートには行けなかったが、その後の活躍は間違いなく、
ジャズ界のみならず、音楽界の大物として長く君臨するに違いないと思った。
衝撃の人生
その後、私は銀行に就職し、あまりの業務の忙しさに、音楽を聴く余裕もなくなってしまった。
本当に、毎日の時間の流れに押し流されて、息をつく暇もないほどの生活であった。
ただし、ジャコは相変わらず音楽界で大活躍しているものと思っていた。
あっという間に時間が過ぎて、40代に突入したある日、
市内の図書館で本を探してぶらぶらしていた。
音楽書のコーナーを歩いていると「ジャコ・パストリアスの肖像」というタイトルが目に入った。
すぐに本を手に取ってパラパラとめくって、すぐに「しまった」と後悔した。
何と、ジャコは、1987年に35歳の若さで死んでしまっていた。
あれほど好きだったジャコの音楽を聴かないうちに、彼は死んでしまっていたとは。
私が就職して4年後くらいの出来事で、一番忙しく働いていたころに、ジャコは亡くなっていた。
世間の動向に注意が向いていない時期だった。
その後のジャコ
その後は、ジャコの足取りをたどって、私が就職した1983年以降の動向を追っていった。
悲しいことに、生前、ジャコ・パストリアス個人の名義で発売されたレコードは
わずか2枚しかない。
死後に発売された作品のほうが、圧倒的に多く、
海賊版のようなレコードを含めて、多数のCDやDVDなどが発売されている。
2016年には、アメリカでドキュメンタリー映画「Jaco」が完成し、
全米、ヨーロッパに続き、2016年12月1日、ジャコの誕生日に
日本でも公開されるなど、今でも、現在進行形で作品が発表されている。
映画は、新宿のシネマカリテで上映され、早速、見に行った。
満席完売で、同世代が多く、死後30年近く経過しているのに、
その人気に驚かされた。